去年と同じ場所に置く(v7・1話20コマ)

紙が減った話ではなく、施設長と主任の関係が戻る話にする。コマ4で主任の提案を受け流した施設長が、コマ17で同じ主任の提案を受ける。感動の引き金は効率ではなく、人と人の距離が急に縮まる瞬間(kama muta)。
v4 63点
v5 64点
v6 67点
v7 71点
1
起1・無言
(無言)

夜の施設長室の引き絵。セリフを置かない。机に書類の山が3つ。いちばん手前の山は、背に色の違うインデックスが並ぶケース記録の綴り。壁際のスチール棚には同じ形の入居者ファイルがぎっしり。机の隅にナースコールの子機が伏せて置かれ、緑のランプが点いている。窓の外は暗い。大村は画面の右端で、コートを腕にかけたまま立ち止まっている。

2
起2・同じ構図①
また、来たか

施設長室の窓と机を正面から。大村は机の向こうに座り、両手を机に置いている。外は真っ暗で、ガラスに大村の顔がはっきり映っている。机の上に、封の切られていない茶封筒の束。※この画角・この姿勢をコマ11・19で完全に繰り返す。

3
起3・諦めの証拠
今年も、か

大村が棚から空のバインダーを出し、去年と同じ位置に置く。その手が、棚の奥に差してある古い薄い冊子に伸びかけ、背に指が触れた所で止まり、そのまま引き戻される。手元の寄り。※この所作だけで「前に一度出して、もう出さないと決めた人」を見せる。冊子の文字は描かない。

4
起4・リフレイン②の前半
これ、一度 見てもらえませんか

三上が紙を1枚差し出して立っている。大村は受け取らず、口元だけで笑って視線を書類に戻している。※諦めの前史はコマ3の所作で見せたので、ここでは言葉にしない。

5
起5・三上も諦める
(無言)

三上が下ろした紙を自分の引き出しにしまっている手元の寄り。引き出しの中には、同じような紙がすでに何枚も重なっている。顔は入れない。セリフなし。※今回たまたま引っ込めたのではなく、これまで何度もそうしてきたことを、溜まった紙の厚みで見せる。

6
承6・自力解決の失敗①
この下書きだけでも 頼めるか

深夜。大村が一人でノートパソコンに向かい、片手でケース記録の綴りを開いて押さえている。画面の中身は描かない。※何を試したのかが分かるセリフにする。

7
承7・第2のフック=30〜40%地点の最大離脱点
これは、 外に出せんな

大村の手の寄り。指はキーに触れていて、数文字打った所で止まっている。視線は開いたケース記録の側に落ちている。※実際に打ちかけて、自分の判断で止めた顔にする。無知ゆえに止まったようには描かない。

8
承8・無言①
(無言)

大村が静かにノートパソコンを閉じる。手元だけの寄り。セリフなし。

9
承9
うちには、 無理だな

大村が椅子の背に体を預け、天井を見ている。引き絵。

10
承10・無言②
(無言)

夜の職員室。手前で三上が紙の記録を手で書き写している。その奥、廊下側のガラス越しに、施設長室の明かりがまだ点いていて、大村の座っている影が見える。セリフなし。※どちらも遅くまで残っている画にする。片方だけが苦労している構図にしない。

11
転11・同じ構図②
…ほかは、 どうしてるかな

コマ2と完全に同じ画角・同じ姿勢。外は真っ暗のまま。机の上の茶封筒の束も、コマ2とまったく同じ量。変わるのはガラスの映り込みだけ=大村の顔が半分だけ映っている(窓の外に視線を向けたため)。※ここはまだ何も始まっていないので、成果の印を置かない。

12
転12・同業の施設長①
うちも去年まで、 同じでした

別の施設の応接。同業の施設長(60代・男性)が、自分の机のほうを顎で指しながら話している。大村は聞き役。※売り文句ではなく、自分も同じだったという実感から入る。

13
転13・商品名は第三者の口から
出前講座ってのを 入れてみたんです

同じ応接。同業の施設長が、自分の机の引き出しを開けて、中から1冊取り出して見せている。引き出しの中にはまだ物が入っている。大村が覗き込む。※ここで初めて商品名が出る。言うのは売り手ではなく同じ立場の人。回数も、片付いた量も言わない。

14
転14・自分で決める一拍・無言
(無言)

施設長室。大村が一人で受話器を取り上げる手の寄り。顔は入れない。誰にも相談していないことが分かる画。セリフなし。

15
転15・サンの初登場
どの紙が、 一番重いですか

施設長室。サンがソファに浅く腰かけ、問いかけている。テーブルの上には何も置かない(資料もパンフレットも名刺も出さない)。オレンジのトートは足元に1つ。

16
転16・使ってみてつまずいた/今も残る
音声で入れると、
方言が拾えなくて

職員室。三上がノートパソコンの前で眉を寄せている。手元には打ち直した紙。机の端に、手つかずの紙の束がまだ残っている。※終わった話ではなく、使ってみて今も起きているつまずきとして描く。

17
転17直前・無言
(無言)

夕方の職員室。大村が一人、三上の打ち直した紙を手に取って見ている。縦に長いコマ。セリフなし。スクロールが一瞬引っかかる高さにする。

18
転18・転換点
これ、 見てもらえますか
見せて

三上が紙を1枚差し出している。大村が手を伸ばして受け取る。2人の距離が近い。※この紙は、コマ5で三上が引き出しにしまったその紙。コマ4とまったく同じ差し出し方にして、今度は受け取る。物語の芯はここ=一度引っ込めた提案が戻ってくる瞬間。

19
結19・同じ構図③+リフレイン①
今年は、違うな

コマ2・11と完全に同じ画角・同じ姿勢。外は明るい。ガラスに大村の顔は映っていない。机の上の茶封筒は無いが、紙の束が1つだけ残っている(コマ16で残った分)。※全部片付いた形にしない。

20
結20・無言④=最終コマ
(無言)

施設長室の戸口。大村の後ろ姿と、明るい廊下。奥に三上が歩いていく後ろ姿。セリフなし・数字なし・効果なし・商品名なし。※会釈させない(感謝の身ぶりは成果の言い換えになる)。

v6から直したところ

残っている弱点(採点役の指摘)

採点=3役(物語の骨/立場と信用/閉じ方と正直さ)が互いの点を見ずに採点し、合計は機械が足す。書いた本人は採点に加われない。
本文に数字を書いていないのは、顧問先の実測がまだ1件も無いため(消費者庁 打消し表示に関する留意点 2018-06-07)。
台本の型=10並列リサーチ3,554行・出典100本超から作成。