夜の施設長室の引き絵。セリフを置かない。机に書類の山が3つ。いちばん手前の山は、背に色の違うインデックスが並ぶケース記録の綴り。壁際のスチール棚には同じ形の入居者ファイルがぎっしり。机の隅にナースコールの子機が伏せて置かれ、緑のランプが点いている。窓の外は暗い。大村は画面の右端で、コートを腕にかけたまま立ち止まっている。
施設長室の窓と机を正面から。大村は机の向こうに座り、両手を机に置いている。外は真っ暗で、ガラスに大村の顔がはっきり映っている。机の上に、封の切られていない茶封筒の束。※この画角・この姿勢をコマ11・19で完全に繰り返す。
大村が棚から空のバインダーを出し、去年と同じ位置に置く。その手が、棚の奥に差してある古い薄い冊子に伸びかけ、背に指が触れた所で止まり、そのまま引き戻される。手元の寄り。※この所作だけで「前に一度出して、もう出さないと決めた人」を見せる。冊子の文字は描かない。
三上が紙を1枚差し出して立っている。大村は受け取らず、口元だけで笑って視線を書類に戻している。※諦めの前史はコマ3の所作で見せたので、ここでは言葉にしない。
三上が下ろした紙を自分の引き出しにしまっている手元の寄り。引き出しの中には、同じような紙がすでに何枚も重なっている。顔は入れない。セリフなし。※今回たまたま引っ込めたのではなく、これまで何度もそうしてきたことを、溜まった紙の厚みで見せる。
深夜。大村が一人でノートパソコンに向かい、片手でケース記録の綴りを開いて押さえている。画面の中身は描かない。※何を試したのかが分かるセリフにする。
大村の手の寄り。指はキーに触れていて、数文字打った所で止まっている。視線は開いたケース記録の側に落ちている。※実際に打ちかけて、自分の判断で止めた顔にする。無知ゆえに止まったようには描かない。
大村が静かにノートパソコンを閉じる。手元だけの寄り。セリフなし。
大村が椅子の背に体を預け、天井を見ている。引き絵。
夜の職員室。手前で三上が紙の記録を手で書き写している。その奥、廊下側のガラス越しに、施設長室の明かりがまだ点いていて、大村の座っている影が見える。セリフなし。※どちらも遅くまで残っている画にする。片方だけが苦労している構図にしない。
コマ2と完全に同じ画角・同じ姿勢。外は真っ暗のまま。机の上の茶封筒の束も、コマ2とまったく同じ量。変わるのはガラスの映り込みだけ=大村の顔が半分だけ映っている(窓の外に視線を向けたため)。※ここはまだ何も始まっていないので、成果の印を置かない。
別の施設の応接。同業の施設長(60代・男性)が、自分の机のほうを顎で指しながら話している。大村は聞き役。※売り文句ではなく、自分も同じだったという実感から入る。
同じ応接。同業の施設長が、自分の机の引き出しを開けて、中から1冊取り出して見せている。引き出しの中にはまだ物が入っている。大村が覗き込む。※ここで初めて商品名が出る。言うのは売り手ではなく同じ立場の人。回数も、片付いた量も言わない。
施設長室。大村が一人で受話器を取り上げる手の寄り。顔は入れない。誰にも相談していないことが分かる画。セリフなし。
施設長室。サンがソファに浅く腰かけ、問いかけている。テーブルの上には何も置かない(資料もパンフレットも名刺も出さない)。オレンジのトートは足元に1つ。
職員室。三上がノートパソコンの前で眉を寄せている。手元には打ち直した紙。机の端に、手つかずの紙の束がまだ残っている。※終わった話ではなく、使ってみて今も起きているつまずきとして描く。
夕方の職員室。大村が一人、三上の打ち直した紙を手に取って見ている。縦に長いコマ。セリフなし。スクロールが一瞬引っかかる高さにする。
三上が紙を1枚差し出している。大村が手を伸ばして受け取る。2人の距離が近い。※この紙は、コマ5で三上が引き出しにしまったその紙。コマ4とまったく同じ差し出し方にして、今度は受け取る。物語の芯はここ=一度引っ込めた提案が戻ってくる瞬間。
コマ2・11と完全に同じ画角・同じ姿勢。外は明るい。ガラスに大村の顔は映っていない。机の上の茶封筒は無いが、紙の束が1つだけ残っている(コマ16で残った分)。※全部片付いた形にしない。
施設長室の戸口。大村の後ろ姿と、明るい廊下。奥に三上が歩いていく後ろ姿。セリフなし・数字なし・効果なし・商品名なし。※会釈させない(感謝の身ぶりは成果の言い換えになる)。
採点=3役(物語の骨/立場と信用/閉じ方と正直さ)が互いの点を見ずに採点し、合計は機械が足す。書いた本人は採点に加われない。
本文に数字を書いていないのは、顧問先の実測がまだ1件も無いため(消費者庁 打消し表示に関する留意点 2018-06-07)。
台本の型=10並列リサーチ3,554行・出典100本超から作成。